熊本地震
熊本地震で大きく被災した南阿蘇村に、唯一涸渇してしまった塩井社水源という水源があります。雄大な景色を持つ南阿蘇村が大好きな私たちは、名水百選にも選ばれる塩井社水源に良く通っていました。大事な思い出の詰まった場所でした。
かつて塩井社水源は、神秘的な雰囲気の水源でした。鮮やかなクリアブルーの水が湧き出していました。湧水口から生まれてくる水は真夏でも冷たく最高に美味しい味でした。
その大好きな水源が涸渇したというニュースを耳にしたとき、ショックで信じられず、福岡でじっとしているのが苦痛でした。地震から3ヶ月後、訪問した時には、渓流の音は全く聞こえず、湧水の池は干上がり、底はひび割れた粘土がむき出しになっていました。
その訪問の後も私たちは幾度も塩井社水源地区に足を運びました。そして震災から1年が経った頃、塩井社水源地区の世話役の方にお話を伺う機会がありました。せめて枯れ果てた水源を共に悲しみ、その復活を願う話がしたい、と思いました。生活や農業用に活用していた水源下流の住民の方々のご自宅に赴き、どれだけ苦労されたか、生活はその後どう変わったか、などの取材を重ねました。そしてその取材で得た学びを自分の中にとどめるのではなく、世の中の人にも知ってもらいたいと思い、3年間作文として社会に発信し続けました。
そして3年後、阿蘇を愛する地元の方々と私たちの願いが通じたのか、塩井社水源は見事復活を果たしました。世話役の方が中心となり、雨水など底に溜まったままの水を消防ポンプ2台で汲み出してみたところ、最初は減っていたはずの水が途中から減らなくなり、その後は減るどころか少しずつではありますが増えだしたのです。かつてのあの塩井社ブルーの水源が懐かしい姿をまたあらわしたのです。
その後、私たちは復活を祝う地元のお祭りにもお招きいただいて、村の一員として参加しました。
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